「2組の生徒は、速やかに別室に向かってください」
おっと。そうこうしているうちに、ついに我がクラスの番のようだ。
私の出席番号は27番。うちの学校は1クラス40人なので、クラス内では真ん中に近い数字になる。
ちなみに、武器の受け渡しが終わった後は、戦争開始に備えてそれぞれ学校の敷地内のどこに向かってもいいことになっている。恐らく1組の生徒はもう隠れ場所やいざという時の逃げ道の確認などを行っている頃だろう。
私も昨日までに戦争で有利になりそうな場所は確認しておいたが、まぁ武器を渡された後はその辺りを巡ることにしよう。普段は中々行けない場所に行くのもいいかもしれない。
「26番、丹崎真、入れ」
私の前の男子生徒が、目の前の扉へと入っていく。怯えたような顔つきだ。無理もないが、しかし男児たるもの、もっと堂々とした顔をしたほうがいいだろうに。
後ろに並ぶクラスメイト達が皆一様に不安な顔をして待っている中、私は静かに目を閉じ瞑想をする。何も考えず、ひたすらに集中力だけを高める。
………………。
………………。
………………。
「27番、千岡湊、入れ」
来た。
さっきの男子生徒が入れ違いで出て行くのを横目に、私は静かに室内に入る。
部屋の中には左右に1人ずつと、真正面に1人、合計3人の教師が私を囲むようにして立っていた。室内には一般的な事務机やロッカーが置かれていて、普段と変わった様子はなかった。
「まずこれを」
右に立っていた眼鏡の教師が私にリュックのように肩紐のついた袋を渡してくる。中身はわからないが、恐らく食料だろう。無言で受け取り邪魔にならないように肩に担ぐ。
「それでは、武器の選択を」
正面に立つ白髪の教師が、上面に丸い穴の開いた、縦横30cm程度の正方形の箱を差し出してくる。
武器の選択か。これはこの後の展開に繋がる重要な場面だ。噂によれば人を消し炭にできるような大型銃器から、武器とは呼べないような生活雑貨まであるらしい。
できれば使い慣れた真剣や竹刀、木刀あたりを引き当てたいところだが、さすがにそこまで上手くはいくまい。まぁ何か棒状のものであれば重畳だ。
すっ、と箱の中に手を入れる。中は多くの紙が入っており、少し手を動かしただけで紙の角が当たってちょっと痛い。
その中の一枚。丁度手のひらの位置にあった紙を握る。迷っても仕方がないのだから、ここはシンプルに手に当たった紙を選ぶだけだ。
深呼吸をして――、腕を一気に引き抜く!!
「……これだっ!」
果たして、運命の女神は私に微笑むのか?
ゆっくりと、握り拳を開いて、二つに折りたたまれた紙を取り出す。
そして……その紙を広げると――――
《プラスチック製15cmものさし》
…………。
こうして私の『戦争』は、最悪の状況からスタートした。
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今回は長くなってしまったので前後に分けてみましたー。
前編は「戦争」の解説、後編は湊の「戦争」開始前のお話ですね。
さてさて、いよいよ本番スタートって感じで私のボルテージも高まってきましたよww
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