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07 戦闘準備


「確かにこれは……棒状だがなぁ…………」
 引き当てたプラスチックの透明な定規を片手に、正直絶句するしかなかった。
 噂には聞いていたがまさかここまでとは……。
 まったく……これ以上ヒドイ武器なんてないんじゃないだろうか?たった15cmの棒で何をしろというのだ。
「まぁ、過ぎてしまったことはしかたがない、か……」
 いつまでも定規を片手にフラフラしていても仕方がない。理想からはだいぶ離れた武器になってしまったが、これも自分の運が悪いせいなのだ。過ぎたことは過ぎたこととして、きっぱり諦めなければ。
「にしても、どこへ行くべきかな……」
 『戦争』は、参加者全員に食料と武器が渡されてから30分後にスタートする。開始の合図はいつもは授業の始まりや終わりを告げるチャイムの音なので、聞き逃す心配はまずない。
 だから本来なら武器を手に奇襲のしやすそうな場所などでスタンバイしていようと思っていたのだが……。こうなってはその計画は何の役にも立たないだろう。
 いったい何をするべきか。考えている間にも食料と武器の受け渡しは進んでいる。このままこうやって悩んでいてはチャイムが鳴ってしまいそうだ。
「まず優先すべきは……やっぱり武器の調達、か」
 一応この17年間、修行に修行を重ねたおかげで素手でも戦えることは戦えるのだが、当然武器があった方が心強い。
 しかし他人から奪う、というのは難しいだろう。いくらなんでも素手で武器を相手とるのは厳しい。仮にできたとしても無傷というわけにはいかないだろうから、この案はナシだ。
 ではどうするか……。
「やっぱり、探すしかないな」
 言うまでもないが、敷地内に銃器やら刃物やらがごろごろ転がっているわけではない。
 けれど極端に例えれば、教室の机や椅子だって投げつければ立派な凶器になるように、普通に学校内にあるものでも武器になるようなものはあるはずだ。少なくとも定規よりは使える何かが。
「すると、めぼしいところは剣道場の竹刀……それから野球部のバットぐらいか?あとはまぁ……弓道部の弓も使えないこともないか」
 だが恐らく自分と同じことを考える人間は多いはずだ。ならば武器として使えそうな物はすでに誰かに取られている可能性が高い。
 ならば、自分が行くべき場所は――。

 西門近くの旧部室棟。
 その一階、元野球部の部室めがけて、湊は走り出した。
 目指すは今は使われていないはずの古いバット。旧部室棟はこの『戦争』が終われば取り壊されるのではと噂されるほど朽ちた建物なので、そうそう近付く人もいまい。
 あるかないかはわからないが、とにかく湊は武器調達に向けて走り出した。

+++++++++++++++++++++++++++++++++
 というわけで、武器調達のために湊は走ります。
 ちなみにまだ『戦争』が始まったわけじゃないですよ~

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06 昨日の就寝時刻は午前3時


校長の話が延々と続く、緊迫した空気の中で、逃覚は・・・・


寝ていた。
しかも、いびきをかき、口の横に透明の液体を垂らしながら。
起きる気配は・・・皆無だった。

「おい、白羽!!何をしている!起きんか!!」
先生の怒声が耳に響く。ああ、もー耳いてぇって、先生。
ん~?あ、オレ寝てたのか。どうりで眠いわけだ。やっぱ昨日深夜までゲームするんじゃなかったかな~
でもさ、もうゲームできないかもじゃん?
「さっさと立たんか!!」
怒声はまだ続いていた。
うっるさいなぁ~なに、立てばいいんでしょ、立てば。
そうふてくされながら、逃覚は寝ぼけ頭のまま、立ち上がった。

先生に言われるがまま、部屋の扉の前に連れて行かれた。
「13番 白羽逃覚 入れ!」
呼ばれたよね、今。
んじゃま、入るとしますか。 
「これを」
なんだこれ?リュック・・・?地味に重たいんですけど
「それでは、武器の選択を」
目の前に箱が置かれてる。んー?
「これ、引けばいいんすか?」
「そうだ」
なんか返答冷たいなーー顔怖いまんまだしさ。
手を突っ込む。紙が手に当たる。よ~しこれだぁ~

《爪楊枝》


えっとぉ。。

つま、よう、じ。。。。。????!?!?!?!?!!!!!!??

ようやく逃覚は目を覚ました。




***********************************************
これ完璧武器じゃないっすよねwwww

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05(前) スタートラインは15cm


「それでは、戦争開始前に最終確認を行います」
 午前9時の少し前。体育館の中にマイクによって拡大された校長の声が響く。
 わざわざ最終確認なんてしなくてもいいと思うんだけどなぁ。
「まずはルールの確認です」

 『戦争』のルールは何年も前からずっと教えられてきたので忘れるはずがない。
 その1。学校の敷地内から出ないこと。といっても、校門前や外壁には強固なバリケードが築かれているのでこれはほとんど不可能なことだ。ちなみにもしも敷地から一歩でも外に出ようものなら、強制的に即失格処分とされてしまう。
 その2。基本的にはクラスや部活などに関係なく個人で戦うこと。まぁこれもほとんど意味のないルールだ。人との協力が禁止されているわけではないので、友達同士で同盟を組んで集団で戦うやつも珍しくない。というか私のように一人で戦おうとしている方が珍しい。
 その3。戦争は参加者が一定の人数になるまで終わらない。今回は丁度1000人から始まり、100人にまで減らされることになっている。単純に考えれば生き残る確率は10分の1というわけだ。
 まぁ、大体はこんな感じだ。他にも細々としたルールがあるのだが、開始前に小難しいことばかり考えていても仕方がないだろう。私のモットー『当たって砕け!』だ。

「ルールの確認はこれで以上です。ではこれより、戦争開始前の準備に移ります。1組の生徒から出席番号順に、別室にて武器と食料の受け渡しを行ってください」
 いよいよだ。いよいよ『戦争』が開始される。
 この『戦争』ではさっき校長が言ったように、一人に一つずつ武器と食料が渡される。
 食料の方は約3日分。日持ちする缶詰とか、インスタント系の物が袋に入れて渡される。『戦争』が長引くようであれば、後に補給物資が配布されることになっているので、3日を過ぎても餓死するような事態にはならない。
 そして、もう一方の武器の方は厄介なルールがある。なんと、渡される武器は皆平等……ではないのだ。拳銃を渡されるやつもいれば、ナイフを受け取るやつもいる。1000人が1000人に、それぞれ違った武器が与えられるのだそうだ。
 ではどうやって渡される武器が決まるのかというと、恐ろしいことに『くじ引き』だという。今1組の生徒が向かっているように、別室でくじを引き、その紙に書かれた武器を貰うのだ。
 何故そんなルールがあるのか。実はこれもまた『戦争』の一環で、重要な意味があるらしい。
 そもそもこの『戦争』は、増えすぎた人口を減らすために行われるものだ。ならば残される人間は当然、より良い人間の方がいいだろう。そこで『戦争』の発案者はこう考えた。
『より強い者が、より頭の良い者が戦争を勝ち抜くだろう。だがそれだけではダメだ。より強運の者が生き残れば、この国の未来も彼らの強運によって良い方向へ導かれるだろう』
 一言、発案者に申し出たい。
 アホかぁ!!、と。
 誰がどう考えても、馬鹿のその場の思いつきとしか思えないようなこの考えは、どうしたことか採用され今現在、「武器はくじ引きによって決定される」なんてルールが定められているのだ。
 まったく・・・これからいったいどうなることやら、だ。

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05(後) スタートラインは15cm


「2組の生徒は、速やかに別室に向かってください」
 おっと。そうこうしているうちに、ついに我がクラスの番のようだ。
 私の出席番号は27番。うちの学校は1クラス40人なので、クラス内では真ん中に近い数字になる。
 ちなみに、武器の受け渡しが終わった後は、戦争開始に備えてそれぞれ学校の敷地内のどこに向かってもいいことになっている。恐らく1組の生徒はもう隠れ場所やいざという時の逃げ道の確認などを行っている頃だろう。
 私も昨日までに戦争で有利になりそうな場所は確認しておいたが、まぁ武器を渡された後はその辺りを巡ることにしよう。普段は中々行けない場所に行くのもいいかもしれない。
「26番、丹崎真、入れ」
 私の前の男子生徒が、目の前の扉へと入っていく。怯えたような顔つきだ。無理もないが、しかし男児たるもの、もっと堂々とした顔をしたほうがいいだろうに。
 後ろに並ぶクラスメイト達が皆一様に不安な顔をして待っている中、私は静かに目を閉じ瞑想をする。何も考えず、ひたすらに集中力だけを高める。
 ………………。
 ………………。
 ………………。
「27番、千岡湊、入れ」
 来た。
 さっきの男子生徒が入れ違いで出て行くのを横目に、私は静かに室内に入る。
 部屋の中には左右に1人ずつと、真正面に1人、合計3人の教師が私を囲むようにして立っていた。室内には一般的な事務机やロッカーが置かれていて、普段と変わった様子はなかった。
「まずこれを」
 右に立っていた眼鏡の教師が私にリュックのように肩紐のついた袋を渡してくる。中身はわからないが、恐らく食料だろう。無言で受け取り邪魔にならないように肩に担ぐ。
「それでは、武器の選択を」
 正面に立つ白髪の教師が、上面に丸い穴の開いた、縦横30cm程度の正方形の箱を差し出してくる。
 武器の選択か。これはこの後の展開に繋がる重要な場面だ。噂によれば人を消し炭にできるような大型銃器から、武器とは呼べないような生活雑貨まであるらしい。
 できれば使い慣れた真剣や竹刀、木刀あたりを引き当てたいところだが、さすがにそこまで上手くはいくまい。まぁ何か棒状のものであれば重畳だ。
 すっ、と箱の中に手を入れる。中は多くの紙が入っており、少し手を動かしただけで紙の角が当たってちょっと痛い。
 その中の一枚。丁度手のひらの位置にあった紙を握る。迷っても仕方がないのだから、ここはシンプルに手に当たった紙を選ぶだけだ。
 深呼吸をして――、腕を一気に引き抜く!!
「……これだっ!」
 果たして、運命の女神は私に微笑むのか?
 ゆっくりと、握り拳を開いて、二つに折りたたまれた紙を取り出す。
 そして……その紙を広げると――――

 《プラスチック製15cmものさし》

 …………。
 こうして私の『戦争』は、最悪の状況からスタートした。

+++++++++++++++++++++++++++++
 今回は長くなってしまったので前後に分けてみましたー。
 前編は「戦争」の解説、後編は湊の「戦争」開始前のお話ですね。

 さてさて、いよいよ本番スタートって感じで私のボルテージも高まってきましたよww

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04 どうせ、オレは。。

うっとおしい授業も終わり、放課後が始まった。
いつものよーに大勢で固まりになって教室から出て、帰ろうとしていたときだった。
「おーい、トウザ!今日さ、皆で飯食いに行くんだけどお前はどうする?」
「おーぅ、いいねぇーーおれヒマだし行こっかな~」

もう・・・・・・みんなでメシくえねーかもだしな。。

ぁ、そういや俺カネ持ってたっけ?
かばんを探る。
えーっと、財布は、と。あり?また、か・・
「ごめーん、サイフ盗られてるわ・・」
「えーー!?またかよ!」
「みたいーだからパスー」
「そっかーー了解ーー」
ついてねぇ。。何回目だよ。。
じゃあ今日は大人しく帰るとしますか。

「ただいまー」「おかえりー」
ふぅ。。
ベッドに横たわる。
・・・・明日。。
明日のセンソウで。。

・・・・・どうせ、オレは死ぬんだろな。
生き残れるとは思えない。ま、オレなんか生きててもしょうがないけどな。


もうここで先に死んでやろうか。


デキナイクセニ
腕をめくる。傷だらけの醜い手首。大小さまざまの傷
いつまでたっても死ねる勇気なんて出やしない。
これがオレの本質。


********************************************************************
暗くなっちゃったぜぃ、ひゃほう☆

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